宝塚

ベルサイユのばら50・東京公演初日昼の部感想:出演者最高!脚本は…

5月26日に行われた「ベルサイユのばら50」東京公演昼の部へ行ってきました。出演者はこんな感じ。

基本的な構成は「ベルサイユのばら45」と同じで、トークショーと歌のコーナーの後、ダイジェストシーン、そしてフィナーレです。大きな違いとしては、トークショー前の映像が45周年のときはこれまでのベルばら全てだったのが、昭和ベルばらだけになり、トークショーが2部構成になったこと、ダイジェストシーンが途中で人が変わらなくなったこと(45周年では再現シーンのオスカルが前半シーンと後半シーンで違うなどがありました)です。あと45周年はフィナーレにはトークショーのOGは出てなかった気がします。うろ覚えですが。

まず、トークショーですが、26日でいうと、初風さん・榛名さん・鳳さん・麻実れいさんでのトーク(割と短めに感じました)と歌、その後映像なしで、日向さん・安寿さん・涼風さん・一路さん・麻路さん・稔さん・香寿さんのトークと歌という構成でした。

王妃様…!

トークは、以前に比べて短かったのでかなり残念でした。最初のほうで何か榛名さんが仰っていて、笑いを取るところだったんですが、私はイマイチ聞き取れず。会場が静かだったこともあり「関西なら笑いが取れるのに、東京の人は気取ってるから」と(笑)。いや、聞き取れなかったんですよ……。少なくとも私はとちょっとだけ言い訳したい気持ちになりました(笑)。

印象的だったのは、45周年では他の舞台で出られなかった鳳さんに、榛名さんが振ったところ。「ショーちゃん(榛名さん)お願いがあるんですが良いですか?」と急に。「いいよ」と言われると急に椅子から立ち上がり、初風さんの前に跪いて「王妃様…!」と。自分が宝塚を見始めたのはちょうど第一次ベルばらブームが終わった後だったので、鳳さんの「王妃様!」を生で聞くのは初めて。すごく嬉しくなりました。王妃様こと初風さんは、相変わらずの歌声の美しさ。今回は3回ほど、劇中のアンドレの台詞「(今日まで)生きてきてよかった」と仰っていて、あとで調べたらもう80代。確かに元気で舞台に立てて、しかも綺麗な歌声をキープできていて本当に存命であることがありがたい限りです。何度も書きますけど、本当にトークの時間が短すぎて、もっと当時のお話を伺いたかったです。トークショーの構成は断然、45周年のほうがよかったと思います。

地方公演のバスを追いかけていた話

昭和組が終わったあとの平成ベルばら組は、日向(ネッシー)さんが一番上。なにせ、ネッシーさんは昭和のベルばらに新人で出ていますからね。ネッシーさんの「オスカルやった人-」「フェルゼンやった人-」「アンドレやった人-」の呼びかけに全員が手を上げていった後、「薔薇の~やった人」(なんだったかは忘れました。多分ラインダンスの役名です)と言って、ネッシーさんが「頭に薔薇をつけて、胴が茎でお尻にも薔薇がついてたの」と言っていたのが面白かったです。更にこのメンバーのうち、安寿さん・涼風さん・一路さんが、「ネッシーさんのオスカルなんです」と自分たち3人が、89年の「ベルサイユのばら フェルゼンとマリーアントワネット編」の特出オスカルだったことを言っていて、「ああ、マリコ(麻路さん・アンドレ)のオスカルよね」と返してました。当時、麻路さんは一週間単位でオスカルが変わるのでなんだか浮気しているみたいな気持ちだったとか。また、ベルばらとの出会いの流れで、確か涼風さんだったと思うのですが、「富山にベルばらがきたときにツアーバスをおいかけた」と。すると一路さんも「一宮にベルばらが来たとき、私もバスを追い掛けました」と。これぞまさに、その直前に話していた人たちのバスなわけですから、わけないでこの話が出た方が面白かったと思うんですよね。なんで、わけちゃったんだろう。勿体ない。

ダイジェストシーンにおける違和感

この公演の「うり」の一つはダイジェストにおける名場面再現シーンだと思うのですが…。やっぱり植田先生、監修から演出に戻ってきませんか?それか、谷先生じゃない誰か…小柳菜穂子先生とかに任せられませんかね?

私がリアタイしていたのは、「平成ベルばら(1989~91)」と言われた花組(大浦みずき)・月組(涼風麻世)・雪組(杜けあき)・星組(日向薫)が中心で、その後は2006年のアントワネット生誕250周年のベルばらの雪組(朝海ひかる)、宝塚100周年(2013-2014)の宙組のベルばら(凰稀かなめ)という感じだったんですけども、正直、植田先生の演出するオスカルもアントワネットも、このダイジェスト版ほど「ヨヨヨ…」とはしていなかったです。前回も書いた気がするけど、なんで、オスカルの衛兵隊のシーンで、「女のくせに」と言われていきなり子守歌になるんですか。その前にあった「そう、女女というな、えばり散らかすだけが男の力か」みたいな台詞がまるっと削られていて、そこそこのやり合いでいきなり子守歌で落ちる男もどうかと思う。アンドレとのシーンも、なんか前回以上に、オスカルの女性のやわなところばかりにフォーカスされている気がして、ちょっと…。と、思ったら、フェルゼンとアントワネットのシーンのアントワネットの演出も、なんかヨヨヨ…という感じ。

もう一つ。ジャンヌが首飾り事件の濡れ衣を王妃に着せて民衆を煽るシーン。これも男性キャラに変更されていました。なぜ。

ベルばらの演出はもとは歌舞伎の人だったし、植田歌舞伎とも言われていた植田先生の演出は確かにアル程度、そういう雰囲気(女性がやたらと女性っぽい)はあったと思うけど、でも、「マリー・アントワネットはフランスの女王なのですから」のシーンも、牢獄でのフェルゼンとの別れのシーンも、凛とした強さは感じたわけです。でも、谷先生にはそれがない。正直、植田先生だけの演出に谷先生が加わるとおかしく感じてしまうんですよね。ちなみに、同じ理由で「風と共に去りぬ」も、駄作化したと思ってます。役者のおかげでなんとかなってるけど、演出がね。

それぞれのアンドレ、それぞれのフェルゼン

今回のダイジェストシーンは、基本的に「フェルゼンとマリー・アントワネット編」だったとはいえ、アントワネットの歌は初風さん、ダイジェストシーンは白羽さんだけだったので特にどうっていうのはないのですが、アンドレとフェルゼンについては、トークショーでの歌が数人あり、それぞれの持ち味の違いが興味深かったです。

ヤンデレアンドレ、見守るアンドレ

話は若干トークショーに戻りますが、トークショーの歌の部分は若干、脳内で再現できる感じになっていました。麻実れいさんは、オスカルの結婚の噂を知り、オスカルを殺して俺も…という台詞を言ってからの歌。そして、鳳さんは王妃様を助けるために駆け付けるシーンの歌だったのでこちらも、若干台詞ありでした。

それで余計感じたのですが、まず、アンドレ。平成以降のアンドレは毒殺未遂シーンでも、「見守り続けていた罪悪感」を感じていることもあり、若干の今で言うヤンデレ感を感じたものの、基本的には「見守り型」に思っていました。実際、ダイジェストシーンのアンドレはそんな感じでした。緒月さんのアンドレは、どこまでも優しいというか、「幼馴染みで、ずっと片思いしてきたオスカルを守らなければ!」というのが見て取れる感じ。これは、緒月さんが現役時代にアンドレをやったのが、凰稀かなめさん(緒月さんと同期)のオスカル編だったことも影響しているのかもしれませんが。

これに対して、麻実さんのトークショーでのアンドレは、「好きで好きで仕方なくて、どうにもできなくてかなり執着している」アンドレに見えました。その台詞のせいだけじゃなく、歌い方とかが。(悪い意味ではなく)ヤンデレ感がすごい。「俺は今日まで生きてきて良かった」をこの調子で想像すると、報われただけじゃなくて、オスカルと一緒に心中しなくてよかった感がすごそうですし、ここまで思われてたら、フェルゼンへの憧れなんてぶっとぶだろうという感じでした。(とはいえ、自分はアンドレよりフェルゼン、ジュローデル派です)まあ、実際にビデオとかで見てみないと当時の全体像はわからないのですが、歌だけでも「絶対に離してなんてやるものか」が伝わってくるのがすごかったです。

情熱的なフェルゼン、一途なフェルゼン、包容力フェルゼン

フェルゼンも、鳳さん・日向(ネッシー)さん・湖月さんで、三者三様でした。前述同様、歌のイメージがあるとはいえ、鳳さんの「駆けろペガサスのごとく」は、本当に情熱的な王子様でした。トークショーで跪いて「王妃様!」ってやったのも、その流れだとすごく納得。フェルゼンを演じる鳳さんは初めて見ましたが、このフェルゼンなら脱獄成功したあと、スウェーデンに帰れなくなろうとも、最後まで守ってくれそうでした。ネッシーさんのフェルゼンを感じられるシーンは、トークショーコーナーの「男の旅立ち」だけでしたが、それでも十分、当時のアントワネットに一途(王妃様を救うべく、アントワネットの兄の元に助けを求めたり、スウェーデンに戻ってすっかり元気を失っていたり…)を思い起こせるものでした。私、あの助けを求めてアントワネットの兄にけんもほろろにされるシーンとかも好きだったんですよね、辛いシーンだけど、フェルゼンの愛を感じて。どんどん長くなってしまったと本人が言っていた牢獄で、断頭台に向かうアントワネットに向かっての「王妃様-」のシーンも。

湖月さんのフェルゼンは、白羽さんが自らパンフレットに書いていたように、包容力のあるフェルゼンでした。情熱を抑え込んで、ひたすら包み込む感じ。こうやってみると、アンドレもフェルゼンも、誰のが良いとかではなくて、それぞれの解釈や相手役だった人の影響で随分、違う色になるなと改めて思いました。そういえば、鳳フェルゼンにとってののアントワネット様(初風さん)も、麻実アンドレにとってのオスカル(汀さん)も、上級生でしたが、上級生相手だとより情熱的になりがちなんでしょうか。憧れが強くなるとかで。

フィナーレに思うこと

さて、フィナーレですが、一つだけ。ネッシーさんがフィナーレでるときは紫苑ゆう(シメ)さんが出ていないんですが、どうせなら、ネッシー・シメでのタンゴが見たかったです。東京公演でやった、幻の。多分、演出が植田先生だけなら、そのシーン入れたんじゃないかと思うんですよね。植田先生、ネッシー&シメで踊らすの好きそうでしたし。次があるかはわかりませんが、その時は、毬藻さんも出て欲しいし、ネッシー&シメでのフィナーレも見てみたいです。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 NORLAのサポートを受けてノルウェー語の詩を翻訳したことがあり(本にはなっていません)、そこからお勉強会などがあれば参加させて貰っています。 ノルウェー語は2011年から、ドイツ語は2023年からスタート。

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