朗読ミュージカル「山崎陽子の世界」感想
1月27日15時~、内幸町ホールで行われた「朗読ミュージカル 山崎陽子の世界」を見てきました。
第一部は「杜子春」(日向薫さん)、「24ページのアルバム」(稔幸さん)。第二部はシャンソン「ポケットの中」(稔幸さん)、朗読ミュージカル「バルコニーにて」(日向薫さん)でした。

杜子春
「杜子春」自体が有名な話ではありますが、自身はあまり読んだ記憶がなく、ストーリーそのものを十分に楽しむことができました。朗読ミュージカルでは、ピアノを伴奏とした一人芝居(ミュージカル)で舞台にあるのはピアノとお花のみ。先日見た『No.9』はピアノ自体が舞台装置として機能していましたが、こちらはピアノはピアノとしてあるだけで、演出に使われるのは照明のみ。基本は、俳優の演技と照明のみで魅せるものです。
それでも、冒頭、杜子春が落ち込んでいるシーンは夕暮れ時の町が、豪華絢爛な宴会をおくるシーンのセイレイ(オリジナルキャラの女性)とのやりとりでは庭園の花畑が、仙人の修行へと空へ飛ぶシーン・地獄のシーンでは、その疾走感や激しく恐ろしいシーンが目に見えるようでした。
日向さんの演じるキャラクターは誰もが、同じ人物が演じているようには見えませんでした。以前、「新・つづみ物語」を見たときも思ったのですが、日向さんは臨場感がある物語がとても合っているなと。ナレーション部分も、演じたそれぞれの登場人物も、全てがとてもリアルに感じられました。そんな臨場感溢れるストーリーで、終わった後は「本当の幸せ」を得たであろう杜子春に「よかったね」と思えました。
ストーリー的なところでは、このミュージカルでのオリジナルキャラである、セイレイ。彼女が出てくるのは本当に短い部分ではありましたが、物語で唯一、「本当の幸せ」を杜子春に教えることのできる存在で癒やしでした。仙人もまた、亡くなった親が遣わしたのではないかという厳しさをもった愛情で杜子春にあたりましたが、最後に「いた」ということだけで物語がハッピーエンドになるのは、セイレイという登場人物の温かさ故な気がします。
24ページのアルバム
途中から涙が止まらなくて大変でした。周りも、結構泣いている人はいたのではないかと思います。
特に、連れ子との思い出の中で、連れ子が家出したときの部分。
一人で連れ子(こども時代)、連れ子(大人・今)、そして若かりし頃の自分と今の自分を演じるというのは、これまた大変なのではないかと思います。日向さんの舞台を見てる最中もいつも思うことですが、さすが元宝塚だなと。特に子役と自分(大人)をその場で切替ながら出来るというのは、特にそう思いました。
この「24ページのアルバム」は、そのタイトルそのものの意味がこのお芝居の醍醐味だと思うのですが、連れ子が家出してから夫の事故死、そして最後のアルバムのシーンまで、ずっと泣きっぱなしでした。本当に名作だと思いましたし、稔さんの「母」っぷりも、「こども」っぷりも、そして「青年」っぷりも、とても良かったです。
ポケットの中
こちらは、今回唯一のシャンソン枠でした。歌詞がとても良かったです。稔さんの久々の男役っぷりを堪能できました。(ダンスもちょっとあったので)。今回、新しいメロディをあてがったという話だったので、曲を探してリンクできないのがちょっと残念です。
バルコニーにて
実はロビーで脚本集が売っていまして、休憩時間にどれにするか悩んでいたときに「日向さんがやるこれ面白いですよ」と薦められたのが、この「バルコニーにて」でした。これは朗読ミュージカル初期に日向さんに当て書きされたものだという話でしたが、なるほど、登場人物が実に魅力的でした。この話こそ、何を書いてもネタバレになってしまうので、書けることが本当に少ないのですが、日向さんの魅力満載で、ちょっと現役時代も思い出したりしながら楽しく拝見しました。

今回、全席自由席だったのですが、私がついた開演15分前(開場15分後)には、もうほぼ満席でした。朗読ミュージカルは35周年とのこと。これまでも何度か見ていてその度に、一つ一つの短編のお芝居に感動しきりです。以前見た宝田明さんが出演されたのも、安奈淳さんが出演されたのも、ものすごく彼等の魅力が発揮されていて、一本一本がとても短編とは思えないくらい濃いんですよね。またぜひ、見に行きたいと思います。

