日常/心

ノルウェーのニュースに思う

私はノルウェー語の勉強とa-ha, とりわけモートンに関する情報収集のために、Twitterやfacebook、そしてノルウェーの新聞サイトのアプリでノルウェー語のニュースを購読しています
Twitterなら140字で概要が書かれているのは、とても勉強になることも多く、重宝しています。

ここ数日、voldtatt、18åringenという言葉が頻繁にTL上に流れてきて、その言葉の重さ故に、あとでしっかり読まなくてはという気になっていたが、昨日、漸く読みました。(今も続きを読んだ)
言葉の意味は、voldtattは強姦、18åringenは18歳だ。

いくつかの記事を読む限り、私がつかんでいる概要はこうです。

「18歳の少女がアラサーの男性3人組に強姦された。事件当時、アラサー男性は、彼女にMDMAを素晴らしいものだよと与え、彼女はMDMAとは知らずに使い、気がついたら男性に代わる代わる襲われていた。この件で、3人は逮捕されたが、裁判員裁判で無罪放免となった。彼女は自分の友達が同じ被害に遭わないためにと、彼らの名前を公表した。(強姦の記事では彼女の名前も犯罪者の名前も出ていなかった)その結果、名前がシェアされまくり注目を浴びるようになった」
今回、その犯人の名前を公表した女性(現在21歳)は顔も名前も公表している。反対に、彼女がシェアした名前については、新聞は一切報じていません。

メディアでの名前の報道の伸張性については、日本の少年犯罪みたいな展開になっています。

ノルウェーは最も進んだ男女平等の国の一つだと言われている。どこの国にも「クズ」はいるということなんだろうけれど、”更正を期待して”名前を出さないということは次の被害者を生むと、私は思います。
罪に重さはあるのかとか、難しい議論になるけど、少なくとも、他人の尊厳を無理矢理奪うような犯罪においては、裁判員どうのではなくて、一律、厳罰で良いと思います。えん罪の問題も確かにあるかもしれないけど、現行犯で疑いの余地がないのであれば、厳罰で良いと思います。

ノルウェーのこの事件についての世論などは、ヤフーニュースでも取り上げられていす。(日本語)

強姦罪の無罪確定に世論が反発、ネットで集団リンチに。「法と倫理は共にあらず」/ノルウェー

一連の議論で私が興味深かったのは、それぞれの新聞がそれぞれの意見を記載していることは勿論、同じ新聞・メディアでも多様な意見が記事になっていたことです。あたり前でしょと言われたらそうかもしれないけど、日本の場合、どのチャンネルにあわせようと、どの新聞を読もうと、意見も出てくる人達も金太郎飴のように同じだから新鮮です。
そして、何より、このビデオ。

http://www.aftenposten.no/meninger/kronikk/Voldtekt-er-en-helt-absurd-handling_-som-horer-vikingtiden-til–Trine-Lise-Olsen-601703b.html

「あなた、頭いかれてるんじゃないの?私は、あなたとセックスしたいと思ったことなんて、たったの一度もないわ!(大声)って、言ってやったのよ」という大文字と大声で始まるこのビデオを訳してみましょう

「私たちは社会における強姦について、話す必要があります。私は、その時17歳で、自家製のお酒で酔っ払っていました。
私は彼に聞いたのよ、どうやって寝室まで来たのかって。彼は言ったわ、私に入るように言ったって。はあぁ?それで、続けたかって?? 私はこの件について、通報しなかったわ。最近起きた事件について、光が当てられているのはとても、とても好ましいと思っているわ。
起きるべくして起きたって? おしゃれして町に出るのよ、女友達4人だけで。それで、「Sex and The City」の1シーンみたいに町を練り歩くの。そして、クラブに入ると死ぬほどカッコイイ男がいて、でも、誰が一番カッコイイかは判断つかないから、家に連れ帰って襲うのよ。(あーはっはっ)。まあ、男性がSEXが好きだっていうのは、誰もが知っているわ。ええ、知ってるわ。Moods of Norwayのドレスを着ては駄目よ、少しばかり目立って、入れられちゃいたくなければね! ここでは、いつもそんな感じよ。どんな服着たのか、どれだけ酔ってたのか、彼女はいちゃついてたのかって。どんなタイプの少女で、だから強姦を受けることになったんだって。それは、社会でどうあるべきかというお行儀についてだわ。私たち女性は、四六時中、どうしたら強姦されないかという方法を聞かされるのよ。そうね、サイクリングパンツをはいていれば、強姦を受けることは信じられないくらい難しくなるとかね。(サイクリングパンツが)あまりにも醜いから、男性が誰かを連れてきて、「さあ、彼女を犯すぞ」って服を脱がせたときに、サイクリングパンツが目に入るでしょ。うわ、これはマジ勘弁して、やる気が失せるわってなるの。もし、男性が女性にこの公共の部屋で黙るようにするとしたら、彼らは強姦を脅しに使うのよ。私たちは、強姦されるわ。私たちは強姦されるのよ。
Kongoから来た男性5人の男性がね、『興味深い、君たちは強姦が悪いと知っていると聞いているよ』『つまり、誰も彼女を襲おうとする人はいないということだよね』 知ってる?いいことなのよ。強姦は挨拶ではないってことなの。勿論、全ての男性が強姦をするとは言っていないわ。それは解っているの。
Sex,時にグループSexは、参加者全員がそうしたいと思っている場合は、とっても気持ちいいんすってね、そう聞いたわ」

Aftenpostenのコメディアン・クリニックという連載コーナーで、この女性はコメディアンなのです。だから、ちょっとお笑いを入れつつも、内容はものすごくシリアスです。下記の記事も含め、インタビューもあって、動画の補足になっています。

http://www.aftenposten.no/norge/Trine-Lise-Olsen—Jeg-vil-at-du-skal-fole-deg-som-en-totalt-ubrukelig-idiot-hvis-du-sa-mye-som-tenker-pa-a-voldta-601811b.html

ヤフーで取り上げられたデモでも「Bare ja er ja」(「はい」だけが「はい」)というキャッチフレーズが掲げられていて、またこの記事などではノルウェーでのその犯罪の被害者の割合で一番多いのは16-20歳とも載ってます。飲酒についても、ノルウェーでは18歳でお酒が飲めるらしいので、日本のそれとはちょっと違いますね。
このビデオのコメディアンが言うことは最もで、今でも覚えていますが、私の初潮が来たとき、真っ先に言われたのは「ばれないようにしなさい」でした。あるだけで襲ってくる変態がいるかもしれないから。中学・高校と女子校で育ち、大学のサークルに入ってその合宿に行くときも、親から「もし、万が一のことがあったら、すぐに病院に駆け込みなさい」と言われたのを強烈に覚えています。『「はい」だけが「はい」』ってあたり前なんですけどねえ、やらかす人は、沈黙は合意なんでしょうね。

しかしねえ、日本でも女性が被害に遭うと必ず、「彼女は派手な女だったんじゃないか」とか「交友関係が広すぎたんじゃないの?」とか被害者が悪くいわれがちですが、どこの国も同じなのかと思うとガッカリですね。
あ、ちなみに、痴漢にあうのは、「派手じゃない女性」(寧ろ制服とかジーンズとかロングスカートとかのが合いやすい)なので、「痴漢にも強姦にも合わない努力」をするならば、電車に乗る前にはど派手なギャル服を着て、降りたら地味な服にするのが良いかもしれません。
あ、でも荷物に派手な服装が入ってたら、やっぱり女性のせいになるから駄目かな(苦笑)

ただ、やはりノルウェーはいいなと思ったのは、こういった女性コメディアンが堂々とその話ができること、国会前ではデモが起きるというのが普通にあることですね。日本だったら…。ワイドなショーあたりで松本が「許せませんね」と言いつつも、「最近の女性は強いから」とか言いそうです。大久保佳代子あたりにふったとしても、彼女が真面目に答える前に揶揄されそうです。なにせ、極楽とんぼのあれが復活するくらいですからね。
最近、つくづく思うのは「沈黙は金」という言葉が諸悪の根源なのではないかと。「沈黙は金」だから「(力のある人にとって)都合の悪い事は黙っておけよ」「言わなくても解れよ」が横行し、議論を避けるというか…。よく言われる、日本が成熟した社会だというのは、気のせいだと思いますね。くさい物にフタしてるだけだもの。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 NORLAのサポートを受けてノルウェー語の詩を翻訳したことがあり(本にはなっていません)、そこからお勉強会などがあれば参加させて貰っています。 ノルウェー語は2011年から、ドイツ語は2023年からスタート。

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