映画・曲・本の感想

ビッグ・ツリーを読んだ

会社のメンタルヘルス研修で、この方の講演を聞いた。
正直、最初は「男性がちょっと頑張るとすぐ取り上げられるよね…」と思ったりしていた。
だって、最近のイクメンだのなんだの、本当にすごい人もいるけど
「働いてる母さんなら当たり前じゃー!」
って言いたくなるようなのが、賛美されまくりで納得いかなっかったので。

お弁当を朝5:30起きでつくるのも、夕方18:00に帰るためにデッドラインをもうけて仕事をするのも、働く母親であれば、やってる人はそこら中にいる。(私は最近、以前に比べてそのあたりが緩んでるけど)
でも、誰もそんなの褒めちゃくれない。「それくらい、母親なら当たり前でしょ」これが世間の反応。PTAへの出席もそう。母親が仕事の時間を割いて出るのは「当たり前」。お父さんが出たら「偉いわね-」。
そのパターンに正直、飽き飽きしていたから。

講演を聴いて、本を読んでみたいと思った。特に、すごいと思ったのは、課長になって多少自分で采配ができたからとはいえ、80年代後半という「いけいけGOGO」「24時間たたかえますかー」な時代に、男性なのに18:00帰りしたという点。
そして、自分だけでなく、部下もまたそういう時間に帰られるように、課全体を替えたというところだ。「じぶんだけが帰る」のであれば、「忙しいのをおしつけやがって!」と言われそうだけど、そうではない。
まあ、彼の場合、奥さんが肝臓で入院、息子が自閉症ともなれば、そうせざるを得なかったわけだけど。

講演の後、本を会場外で売っていて、それが通常より安いと言うこと。(1000円)
そして、売り上げは全部東北地震の復興費に寄付すると聞いて、購入することにした。
手元にお金がなかったので、下ろしてきて購入した(笑)<1000円くらいもっておけ
購入したときに、素朴な疑問を聞いてみた。

「この、自分ではどうしても早く帰れなかった時期(その前後は、彼の采配で早く帰れていたが、一番大変な時期に早く帰れなかった)、仕事をやめたいと思ったことはないんですか?」
と。

そしたら、「あるけれど、でも仕事が好きだったから、続けた。家庭と仕事は両輪。どちらもあったから続けられた」と。
なるほど、と思った。

本を読んだら、やはりそのあたりのことも書いてあって、この人はすごい人なのだなーと思った。
けれど、何よりもすごいと思ったのは、彼が自分の母の教え「運命を受け入れる」ということを実践してること。「頑張っても駄目なことはあっても、頑張らなくちゃ変わらない」というようなのもそう。
このお母さんはすごいと思う。将来、自分の息子が成長したとき、マザコンという意味ではなく、「僕はお母さんを尊敬している」と思ってもらえるだろうか…ないだろうなぁ…今の私じゃ(^^;;
「僕が算数が得意だったのはお母さんのおかげだ」くらいなら思ってもらえるかもしれないけどw

彼のすごいところは、そうした教えを守り、かつ、後になって「自分が頑張りすぎたから妻を追い詰めてしまった」と内省していること。
私だったら「あれだけ頑張ったのに、頑張ったから倒れたとか、じゃあ私がいないほうがよかったってことですね」と言ってしまいそうだ。そこが私の悪いとこなんだけど。

最後の「人は変われる」という章では思わず泣いてしまった。
とてもいい本だったのでした。男性が書いたからといって、最初から構えていては駄目ですね(^^;

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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