Working Mother

在宅勤務の向き・不向きと、工夫

コロナ騒ぎで在宅勤務について脚光を浴びてるけれど、私もこの騒ぎでこれまでの月に数回(多い時で週に2回)から、出社が週2日程度になった。結果、さすがに毎日となると、週2回程度よりも、色々実感したので残しておきます。

20年ほど前、在宅勤務を導入したいという話があって勉強していた頃、読んでいた本やテレワーク協会の勉強などにあった「なるほど」と思ったことは4つ。

  • 学生時代、どこで勉強したかが、自分に向いた働く場所に影響する
  • (導入にあたって)在宅勤務の生産性があがることを証明する必要は無い。生産性は変わらなければ良い。
  • 在宅勤務を続けていると孤独感・疎外感を感じる人もいる
  • 真面目な人ほどオーバーワークになりがち

2つめは、まあ確かにその通りで生産性が変わらなければ、特に損失はないので問題はない。4つめの「真面目な人ほど…」もそうで、特にこのタイプが2つ目の「生産性をあげよう」とか「自分が仕事してることをわかってもらおう」とすると、ありがちだと思います。そして、3つめの「孤独感・疎外感」は、1つめにある「学生時代どこで勉強したか」に依るところが多いと思います。

本によると、学生時代に図書館で勉強していたタイプというのは、周りが勉強をしているという環境に安心するので、「周りが仕事をしている」場所で仕事をする…つまり、オフィスが最もあっているタイプ。カフェや喫茶店などで勉強していた人は、雑音はあるが、自分と関係する人がいないほうが捗るタイプなので、やはりカフェが捗る。図書館の個室など静かな場所で一人で集中するタイプは、個室がやはり向いているそうです。思うに、在宅勤務に孤独感や疎外感を感じるタイプは、オフィスタイプの人ではないでしょうか。カフェ等で雑音があるほうがいい人は、多分、テレビつけっぱなしとかにしておくだけでも良いだろうし…。ちなみに私は、サークルの部室が一番捗りました。次が図書館の個室かな。好きに音楽を掛けていられて、かつ周りを気にしないで良い場所が一番捗ります。部室で勉強してると、下手なトランペットの練習とか聞こえてきたりもしましたが、実は、今自宅で仕事をしていても、目の前の川の傍でトランペットの練習をしている人がいるので、学生時代と似てる環境だったりします(笑)。

毎日やっていて感じるメリット・デメリット

オフィスタイプではない自分が、ほぼ毎日在宅勤務をしていて感じるデメリットは、個人的には一つだけ。「会社と違って別モニターがないので作業が不便」。逆にメリットとしては、「いつまでも鳴り止まない隣の部署の電話の音に邪魔されない」とか、「急ぎじゃないけど、ただ聞きたいから聞く」レベルのことが発生しにくくなるので、集中しやすい環境になると思っています。ちなみに、寂しくはありません。補足として、電話の音は雑音ですが、会社にいれば取らなくてはいけないものであり、隣の音であっても自分のところと同じ音なので、注意がそらされるのです。

在宅勤務で注意するべき「性質」

在宅勤務は「自分を律せない人には向いてない」とよく言われますが、個人的には、注意が必要なタイプは、以下の3パターンだと思います。

  • 宿題を〆切り直前まで抱え込むタイプ
  • 既読スルーが耐えられないタイプ
  • 既読スルーができないタイプ

在宅勤務をすると、会社で使える奥義、「直接聞きに行く」が出来なくなります。「直接聞きに行く」は、言い方は悪いですが「強制割り込み」を発生させます。つまり、〆切り寸前に足りない情報があって聞きに行くと、(断りにくいので)手を止めて調べてくれたりします。近くにいる人なら、ものの一分で解決するかもしれません。この「奥義:直接聞きに行く」は、〆切りを直前まで抱え込むタイプにとっては、非常に重宝する技ですが、在宅勤務だと使えません。なぜなら、チャットやメールなどで問い合わせることで、「強制割り込み」ではなくて、相手にとっての「未処理リスト」に掲載されるだけだからです。いつ答えるかは相手次第です。なので、会話ならその日の5分で済むのに、待ち時間が5分の場合もあれば、3時間の場合もあり、思うようにことが進められなくなります。

次に、「既読スルーが耐えられないタイプ」。上のパターンと似ていますが、回答がすぐに欲しいというタイプは、在宅勤務は難しいでしょう。なんなら一緒に働いてる人が在宅するだけでも、しんどくなるかもしれません。既読スルーになっているものへ返事がないと、蔑ろにされているように感じる場合、自分が優先度トップにならないと気が済まないわけで、かなり辛くなるのではないでしょうか。

最後に「既読スルーができないタイプ」。これは一つ上の真逆ですね。つまり、自分の優先度より他人の優先度を優先しがちな人です。直前まで仕事を抱え込むタイプにとっては、いつでもすぐ答えてくれるのでありがたい存在ですが、自分の業務が疎かになりがちなので、在宅での業務が進まなくなり、精神的に辛くなるでしょう。

とはいえ、これは誰もが少しずつ持っている性質でもあるので、工夫すればなんとかなります。

自分が工夫していること

依頼が複数ある場合は、まずは書き出して「スケジュールテトリス」をする

仕事を始めるときにまずすることに、前日の残作業の確認(帰ってから来た連絡などの確認含む)があると思いますが、この時に、一端、全ての作業を手帳などに書き出します。また、残作業ではなく、今日取り組む業務についても、どれくらいの分量か確認します。その上で、簡単に終わる残作業はさくっと終わらせて、残りの作業を何時から何を対応するのか等、自分の手元のタイムスケジュールに書き込みます。

この方法は、以前、佐々木かをりさんの本で読んだ「自分の時間を予約する」を応用していますが、ついでに、作業が終わったら予定線の横に実績線を書いておくと、徐々に自分の見積もりが正しくなっていくのでお薦めです。また、スケジュールを立てるときは、前後に30分空き時間があるようにするのもお薦めです。見積もりが甘かった時用のクッションになります。

この工夫が特に効くのは、「複数の依頼が来ると、気になって仕方ないタイプ」、すなわち「LINE既読スルーができないタイプ」です。最初にスケジュールテトリスをしておくことで、「新たなタスクを挟む余地があるかどうか」冷静に判断できます。忙しいとやる暇が無くなりますが、実は忙しい時ほど有効です。次のステータスの(できるだけ)見える化にも繋がりますが、見積もりを立てた結果、入る余地がない場合は、グループスケジューラに、「割り込み不可」と入れてしまうのも手です。

自分が依頼を投げる場合は、できるだけ早く・そして明示的に「いつまでにお願いしたい」といのを入れるのが良いでしょう。あたり前といえばあたり前なんですけどね。

ステータスの(できるだけ)見える化 

LINEの既読スルーが耐えられないタイプは辛い」と書きましたが、そうはいっても、音沙汰がないと誰でも不安になりますし、不満も出やすいのは確かです。なので、私の場合は、来た(優先度の高い)チャットには出来る限り早く返すようにしています。あたり前といえばあたり前ですが…。その際に、手をつけるまでに時間がかかりそうな時などは、いつ頃から手をつけられるかなど具体的に記載したりしています。また、私の仕事はどうしても優先度が同じものの日付が被る案件が多いので、グループスケジューラーにいれておいて、「他にこれをやってるのか」というのが見えるようにしています。(強制的に見ろとは言わないけど、見て判断する人もいるかもしれないので)。急ぎの場合にも備えて、場合によっては自分の携帯番号を伝えておくこともあります。

このパターンを長く続けていると、一緒に仕事をしている人は「あの人から長時間返信がない、ということは気づいてないかも」ということで、「無視されてるのではない」ことが通じるようになるので、私が気づいてなさそうだと判断すると、早めに連絡してくれるようになりました。同様に、いつも反応が早い人から連絡がない場合も、グループスケジューラーを確認した上で、私側からそういう連絡をする場合もあります。

在宅勤務をやると楽になるのは…?

まとめると「オフィスで働くより、自分の好む空間で働きたい人」。そして、「普段、強制割り込みが多い人」でしょう。それは重要な案件での割り込みかもしれないし、「条件や時間が揃うのを待たないとどうにもならないことを、その条件が揃うまで1時間おきに聞いてくるタイプ」による割り込みかもしれないし、「〆切り直前まで抱え込むタイプ」による割り込みかもしれません。

逆に言うと、「強制割り込みによるコミュニケーションで仕事していた人」は、在宅勤務が広まるにつれ、やり方をかえる必要が出てきそうです。

在宅勤務のノウハウは在宅勤務だけのノウハウではない

ここまで読んでくださった方はおわかりの通り、私の在宅勤務のノウハウは、基本、「仕事としてあたり前のこと」しか書いていません。少し違うのは、ワーキングマザーという属性があったために、保育園にお迎えに行く必要があり、1日=23時まであたり前の人と働く場合に、どうしても「コミュニケーション取りにくい人」というイメージを払拭する必要があったのです。スケジュールテトリスはその最たるもので、自分の見積もりを知り、誰かにお願いしたことが平均でどれくらいで返ってくるかを知るための工夫でした。在宅勤務は、リアルタイムにいつでもコミュニケーションが取れる働き方ではないので「保育園のお迎えの為に、早く帰らなくてはいけないが、〆切りは変わらない、さてどうするか」という命題で工夫していたことがそのまま使えた感じです。

最近は少しワクワクしていて、「在宅勤務によって早く仕事を終えたときに何をするか」を考えるのも楽しみになりつつあります。それこそ、これまで出来なかった勉強なんかも良いかも知れません。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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