ノルウェー語

ノルウェー文学セミナー2016へ行ってきました

もう10日以上経ってしまいましたが、3月10日に、ノルウェー文学セミナー2016へ行ってきました。
出来ることなら3月9日・10日の両日出席したかったのですが、3月は私の仕事の関係上、もっとも忙しい月であることもあり、どうにかこうにか3月10日の午後のも調整をして、翻訳関連のセミナーに出てきました。

●3月10日(木)午後14:30~16:50
「第三言語からの文学翻訳」
司会進行:NORLANORLAディレクター 「ノルウェー文学と第三言語からの文学翻訳について」
ヨルン・リーエル・ホルストvs猪股和夫(翻訳家) 対談 「ノルウェー文学を第三言語から翻訳する時の課題と留意点」
アンネ・ランデ・ペータース 「イプセンの戯曲翻訳~時代と文化のギャップをどう埋めるか」

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まず、ホルスト氏と猪股氏の対談ですが、これは、原文がありその後に日本語、英語、ドイツ語が続くプリントが配布されました。実際のホルスト氏の本文と、日本語訳、ドイツ語訳、英語訳を見比べることで、情報が落ちたり、追加されている(説明のために)というのがわかるようになっていました。

このプリントは、恐らく猪股氏がつくったのだと思いますが、とても貴重な話が聞けました。
英語版に情報が落ちているものがあったんですが、ホルスト氏はこれを聞いて、「彼女(訳した人)は、本当に積極的に質問してくれて、ノルウェーにも来てくれて案内もした。なのに、情報が落ちているのはおかしいと思って、メールでやりとりしていて気がついた。最初、英語訳するときに彼女がサンプル版を作っている。その時は、まだ書いてる最中で、その場面にそこ(情報落ちしたところ)はなかった。自分が最後に書き足した箇所だったため、最初にその文章に触れた彼女には、その文章は存在しなかったのだ」と。

猪股氏は、この本についてはドイツ語から訳し、ところどころ英語版を参考にしているそうです。それで、違いに気づいたようですね。

これで感じたのは、作家と翻訳している人のやりとりについてです。私も、詩を訳しているときに、質問していいと言われているのですが、やはり、直接その言葉を訳せるということは、よりニュアンスを伝えることが出来やすいのではないかと。
あと、この対談でも話が出ましたが、やはり、大事なのは語彙ですね。
この単語にどの言葉が合うのかというのは、永遠の課題であるように感じました。

「イプセンの戯曲翻訳」についてのほうも、面白い話が聞けました。
情報落ちや情報の追加とは別に、「文化の違いによる受け取り方の違い、それに起因する作家の狙いと違う効果」というのが特に面白かったです。
どの話だったかは忘れましたが、インテリで誰からも信頼されてる人がアル中だという設定があると。
これは、当時のヨーロッパでのインテリであるからこその自由主義のようなものがベースとなっているけれど、日本人には、そういう流行がなかったために理解されずらいとのことでした。
そして、逆にこのインテリの人が、本を出版したことについて、友人から「読むよ」と言われたことに「たいした本じゃないから読まなくていいよ」と答えるのは、ノルウェー人には相当ショックを与えるとのことでした。
本を出したのは自分なのに、なぜそれに自信をもたないのかと。でも、日本だと謙遜として受け取られるために、日本で舞台化された際は、俳優さんへの指導に、そのことを伝えてショックを受けた演技をお願いしたそうです。

その後、交流会では、NORLAの人ともお話することが出来、2013年にサポートを受けていること、今後のことについても少しお話できました。ノルウェー大使館の人ともお話が出来、Rem氏自身が元大使と友人だという話も伺いました。

後から知ったのですが、午前中は翻訳ワークショップが既に翻訳で活躍されてる人の間であったようで、いつかはそのようなワークショップに自分も呼ばれるようになりたいと心から思いました。

今回は、NORLAの人も含め、ノルウェーの方とはノルウェー語でお話してきました。時々聞き取れなかったけど(^^;;、ちゃんと会話は成り立っていました。以前作った名刺も交換できて良い一日でした。

来年もあるのなら、ぜひ、参加したいと思います。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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