舞台感想

『恋のすべて』(2月26日午後)感想

もう二週間ほど経ってしまいましたが、稲垣吾郎主演の『恋のすべて』(2月26日17時の回)を見てきました。彼の舞台を見るのは、同じ鈴木聡作・演出の『君の輝く夜に』以来です。(『サムソン』は自分が見る予定だった回が中止になってしまったため)。

あらすじを公式サイトから引用すると

ニック・テイラー(稲垣吾郎)は探偵。過去に大切な探偵仲間シドを事件で亡くしている。シドの未亡人に送金しているためいつもお金がない。クラーク・キャンピオン(羽場裕一)は、手広く事業を行う経営者。コニー(花乃まりあ)という箱入り娘がいるが、最近、テディ・モーリー(松田凌)という若者が娘の周りをうろついていることを苦々しく思っている。ただ、富豪の未亡人でテディの母、カミラ・モーリー(北村岳子)に投資を頼んでいる手前、テディを追い払うことはできない。テディはどうやらコニーにプロポーズをしようとしているらしい。クラークは、カミラからの投資の契約が終了するまで、コニーをテディから遠ざけるという任務をニックに依頼する。「娘を君との恋に落としてくれ」。破格の依頼料に、仕事を引き受けるニック。一緒に時を過ごすうち、二人の間には「恋のような感じ」が漂いはじめる・・・。さらにクラークは、自分の愛人ザラ・エイミス(石田ニコル)を使ってテディを誘惑しようとする・・・。

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正直言うと、あらすじをみた時点では、「女性を瞞す役の稲垣吾郎は見たくないな」というのがありました。きれいどころしかやって欲しくないとかではなく、詐欺的なもの全般が苦手だし、こういったパターンだとしっぺ返しが主人公に来そうなのでそれがどうも苦手というか。

結果としては、心配は杞憂に終わりました。これは稲垣吾郎演じるニックが誠実な人柄だったのが大きいです。「瞞したくないのに瞞さなくてはいけない」中で、ニック自身がコニーに弾かれつつも自分がやっていること故に一歩踏み込めない。踏み込めないからこそ、コニーもニックの「紳士」なところに惹かれるわけで、最終的に自白してしまうのも含め、良いキャラでした。羽場さん演じる父親クラークも、なんでコニーに別の人と結婚してほしかったのかというのを自白していて、いわゆる過保護な父親の間違った愛情なんですが…、根は悪い人ではないのが良かったです。根は悪くない人だからこそ、自白しちゃうようなニックを選んだのだと思えました。

大団円直前のある「事件」のオチについては、実は予想はついてました。ラジオだし。個人的に一番意外だったのは、ニックの最後のシーンでした。そうか、そうきたか。コニーとの「恋のようなもの」が終わった後には、自分の本当の気持ちを表現できるようになったってことですね。願掛けであるリクエストが通ったからというのも勿論あるでしょうけど、コニーやザラ、テディ、クラーク、カミラとのやりとりで、自分の気持ちを抑えずにそっと差し出す勇気をもらったのではないかと思いました。

ちなみに、話の冒頭にある「帽子なげ」は成功。最後の帽子投げはギリ失敗。そしてアフタートークでの帽子投げは…、いったんかかるものん「やったー!」となった瞬間に落ちてしまうというなかなか面白い結果に。成功した回のほうが少ないらしいので数少ない成功を見られて良かったです。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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