舞台感想

峰さを理追悼チャリティコンサート『愛の旅立ち』へ行ってきました

峰さを理追悼チャリティーコンサート東京公演(3月27日16:00~)へ行ってきました。このコンサートは、一昨年亡くなった峰さんを追悼するのに昨年企画されたもので、その時もチケットは取れていたのですが、日本青年館で予定されていた東京公演は残念ながらコロナの影響で中止となっていました。

今回はその再演ということで、東京では初演になるわけですが…、なんと東京宝塚劇場での公演となりました。パンフにも書かれていましたし、最後の挨拶で寿さんもおっしゃってましたが、東京宝塚劇場で出来てきっと峰ちゃん(峰さん)も嬉しいだろうと。ホントそう思いました。

東京宝塚劇場に足を運んだのは本当に久しぶりで、コロナ禍になってからは一度も来ていなかったので、オペラグラスが貸し出してないことなど全然知らず、借りようとしたら貸し出してなくてショックでした。あと、今回だけなのかわかりませんが、全部現金オンリーでちょっと焦りました(笑)。

席はこんな感じで、A席ではあるんですがその中では一番前。まあ、視力も良いというか遠視ぎみだし、なんとかなるだろうということで。

結果的にいうと、よく見えましたが、自信のない人の顔の区別がつくほどではありませんでした。やっぱりオペラグラス持ってくるべきでした(失敗)。

冒頭、銀橋の両端から歌いながら真ん中に紫苑ゆう(シメ)さん・日向薫(ネッシー)さんが来る感じで、大勢があつまり、高汐さんも寿さんもいらっしゃらないなーと思っていたら、同期生としてお二人が呼ばれ、寿さんと高汐さんのお話に。

寿さんと高汐さんが「星組の遠足の帰りに、急に新人公演の役を3人(峰さん・寿さん・高汐さん)が振られて花組を観に行くように言われた」という話をしたのですが、その時に寿さんが「あの、覚えてる、星組の遠足で」と言ったのに対し、高汐さんが「そんな昨日の夕飯だって覚えてないのに、星組の遠足のことなんて覚えてないわ」と。とはいえ、そうやって急に新人公演の主要な役を振られて花組を観に行ったことなどは覚えていらしたようで。その新人公演「この恋は雲の涯てまで」では(新人公演では劇の構成が変わったことで)思ったより着替える時間が無く、峰さんが出番までに着替え終わらず「間に合わない」と嘆いていたらしく、その真似を寿さんがして、高汐さんが「あの頃は可愛かった」と笑いを誘ったり、オープニングは楽しくもちょっと切ない感じでした。

残念ながら、前述したようにオペラグラスを忘れてしまったので、わかる人・わからない人半々だったのと、割と感動したり色々思いを馳せたので、パンフにセットリストはあるんですけど、誰が何を歌ったかはあまり覚えていませんが、いくつか記憶に残ったものを。

曲順は、おおまかに新人公演時代・二番手時代・シカゴ・トップ時代の順。

この「恋は雲の涯てまで」の曲を寿さんが歌い、その後、新人公演の歌や二番手の時の曲をつないでいきました。
私は新人公演時代の峰さんは知らないので、「ああ、こんな感じだったんだ」「ロミオとジュリエットもやってたんだ」と思ったりしましたが、南風(まいまい)さんが出てきて「ロンリー・ハート」を歌ったときは泣きました。舞台奥のスクリーンに向かって歌いかけるかのように歌うところも、舞台を向いて歌ってるときも、彼女の横に峰さんがいての振り付けなんだろうなという歌い方で、まるで隣にいるかのような感じが切なくて寂しくて思わず涙が出てしまいました。
高汐さんが歌う「君はマグノリアの花の如く」は、背景に峰さんのレッド・バトラーが映っていて格好良かったです。wikiでみると1977年の新人公演だったようです。私が見始めたのは77-78年頃なのですが、その頃から80年代中盤までやたら風と共に去りぬが上演されていた記憶があります。本公演でバトラーを演じる峰さんも見てみたかったと思いました。

『Chicago』は同じ役を演じた麻路さきさん・姿月あさとさんと、「女性役」として出演していた湖月わたるさん・和央ようかさん・大和悠河さんによる歌とトークもありました。(大和さんはシカゴコーナーの前で別の曲を歌ってた気がします)。大和さんが、峰さんの膝の上に座って歌うシーンで、峰さんの太ももがあまりに細いのでガッツリ座るのを躊躇ったところ、「しっかりすわんなさい、日本舞踊で鍛えてるから大丈夫なんだから」と言われた話に、麻路さんが自虐を入れていたのも面白かったですが、峰さんの包容力を見た気がしました。またNYでの公演では、峰さんの顔がポスターになっていたとかという話も。私も『Chicago』のOG公演は観に行きました。勿論東京ですが。峰さんがビリーで、貴城けい(かしちゃん)がロキシー(峰さんの膝に座る役)、湖月さんがヴェルマでした。
(その時の感想:タカラヅカ100周年記念OG公演『CHICAGO』凱旋公演へ行ってきました

姿月さんが歌ったビリーの曲を聞いてるとき、この観に行った舞台の峰さんの姿がオーバーラップしました。あの包容力溢れる歌い方とか、演技とか…。ヴェルマは私が見たときと同じ湖月さんでしたから、それを思い出しましたが。いつかまた『CHICAGO』のOG公演があったらまた峰さんのを観に行きたかった。それはもう叶わないのが非常に寂しいです。

『CHICAGO』のコーナーの前だか後だったかに、峰さんの日本舞踊の舞台が流れました。また、その後には星組の現トップ、礼真琴さんによる思い出話が。「阿弖流為」の時、指導してもらったこと。その時に、「出来るの出来ないのどっち?」と聞かれ「できます」と答えて教えてもらったこと、つい動いてしまうのを「男役は動かない」と指導されたことなど。そういえば、ネッシーさんが退団するときの歌劇だかグラフで、ネッシーさんとシメさんが、萬さんから「男役は背中で演技しろ」と言われたという話をしていたのを思い出しました。萬さんがいたときの星のトップでもありましたからね、峰さん。ある意味、星組に脈々と受け継がれているダンディズムがあるような気がします。「アルジェの男」(峰さん主演のものの再演)のときも、楽屋に来てくれて、その日スカステで「阿弖流為」が流れていたというのも素敵な思い出だなと思いながら聞きました。

その後は、シメさんが出てきて、麻路さんがCHICAGOのコーナーで言っていたのを引き継いだのか「私も峰ちゃんの役を新人公演で沢山やらせてもらいました」と。そして、次のコーナーをトップ時代のコーナーですという紹介だったのですが、ここの曲は殆ど知っている物でした。たしか、2曲目の『ジュビリータイム』だったと思うのですが、ネッシーさんと他二人でノリノリで歌いました。オペラグラスがあれば誰だったか確認できたのですが、峰さんの星組トップ時代の曲なので、ありそうなのは三城礼さん・あづみれいかさん・燁明さんあたりではないかと思うのですが。稔幸さん・えまおゆうさんの可能性もあるのですが、ネッシーさんと3人というところで、3人のうちのどなたかかと。全然違うかもしれませんが、わかる人いたら教えてください。

それから、高汐さんの『ボンジュールタカラヅカ』は、高汐さんがちょっとふざけた感じで楽しかったです。この辺りの作品はほぼ見ているものばかりだったので、ホント懐かしいったらありゃしなかったですが。それから、私がネッシーさん・シメさんを初めて意識した作品でもあった『西海に花散れど』、歌舞伎っぽいなーと思いつつ、ザ・峰さんだなーと思った『我が愛は山の彼方に』、羽がいっぱいで楽しかった『レビュー交響楽』を、当時を思い出しながら若干涙ぐみながら聞きました。そこで『エル・アモール』ですよ。娘トップが二人いた時代の。あの時は湖条れいかさんと南風さんでした。今回は湖条さんの代わりに洲悠花さんでした。この時代の峰さんの作品って、娘が2トップだったのでどちらとくっつくのかとかもそうですし、色々ドキドキさせられたのを思い出しました。峰さんの魅力って、二人の娘役を同時に相手にしていることを考えると、ともすれば『チャラ男』『優柔不断男』になってしまいそうなのに、ならないところだったと思います。どっちも包み込んでしまうような感じ。だから見ている側は(当時中学生とか高校生だったけど)、南風さんとくっつくんだろうなと思いつつも、もしかしたら湖条さんのほうかも…と思ったり素直にドキドキ出来たんですよね。そうそう、パンフには湖条さんのコメントもありました。この場面では、峰さんの役をシメさんが演じました。相変わらず現役の頃から変わらない男役っぷりでした。

そして、『花吹風ー恋幻』は勿論、ネッシーさん。『紫子』は当時チケットが取れず見られたのは、スカイステージで放映されてからでした。ネッシーさんは、彼女のコンサートではたびたびこの曲を歌っていますから、勿論歌うだろうと思っていました。今回は風吹のパートだけでなく、峰さんの歌っていた部分+『紫子』の最後のシーンで歌われるコーラスも入って、スクリーンでは最初は峰さんとネッシーさんのシーン、次に峰さん一人のシーンが映りましたが、脳内ではあの紫子と風吹が一緒に亡くなってしまうシーンが再現されました(個人的には原作通り、風吹の力でどこかに旅だって欲しかったけどそれはそれとして)。ネッシーさんはこの『紫子』について、自分にとっても大切な思い出のある作品であることを仰ってました。

続いて『別離の肖像』。これも観に行ったんですよね。第三の肖像の話がとにかく好きで、なんどもパンフを読み返していたのを思い出しました。貴族とサーカスの娘の悲恋物・駆け落ちもので、どことなく『うたかたの恋』と似ている感じ。最後は確か、心中だったか…。とにかく、心中する前に赦しが出てシメさんが駆け付けるものの、一足遅くピストルで絶命した後になるという展開だった記憶です。ネッシーさんは南風さんの幼馴染みで妹のように接しているが本当は愛しているという設定、洲さんが峰さん演じるシクステンの妹だったと思います(うろ覚え)。もう、歌を聴きながらスクリーンを見ながら、80年代の自分の記憶につかっているので、誰が歌ってたかとか全く記憶になく…(オペラグラスもないから余計に…)。

更にネッシーさんが、「では、これから最後のサヨナラショーです」(うろ覚え・この辺泣いてたので)というと、峰さんのサヨナラショーがスクリーンに映し出されました。高校時代はさよならショーの存在すら知らなかったから、私がこれを見るのは初めてです。星組で生きてきたことがわかる歌詞で、最後に階段をあがっていくシーンでは再び涙が。更に、サヨナラショーの後、全員で『愛の旅立ち』をスクリーンの峰さんと一緒に歌うという構成で、どんだけ泣かせにくるんだろう…と。

終わってからも拍手はなりやまず、その中でネッシーさんが、南風さん・麻路さん・彩輝なおさんがこの企画をしてくれたということで感謝を述べていたこと、それから寿さん(だったと思います・高汐さんの可能性もあるけど)が「最後のショーを東京宝塚劇場で出来たことを峰ちゃんも喜んでると思う」みたいなことを言っていて、それが印象的でした。南風さん・麻路さんは相手役さんと新人公演で翻訳さんから教えていただいた関係があるかと思いますが、彩輝なおさんはだいぶ下の学年で、峰さんの面倒見のよさや慕われっぷりがわかる部分でした。東宝だったことについても、当初予定していた日本青年館も決して悪くはないけど、東京宝塚劇場の舞台で見送れたのは本当によかったと思いました。

オペラグラスがなかったこともあり、かなり曖昧なレポというか感想になってしまいましたが、良いショーでした。峰さんもう3回忌だそうで。お見送りできた気持ちと未だ信じられない気持ちでいっぱいです。某所で並んでるときに後ろから聞こえてきた「なんで死んじゃったんだろ」という呟きがホントそれ、という感じで。まとまりがなくなってしまいましたが、感想はここまでです。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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