宝塚

宝塚雪組「るろうに剣心」を見てきました(辛口・ネタバレあり)

(2016/4/5 東京宝塚劇場 18:30~ )

「るろうに剣心」を見てきました。以下、辛口・ネタバレありです。

今回の「るろ剣」の一番の役得は左之助(鳳翔大)と弥彦(彩みちる)でしょう。
左之助と恵(大湖せしる)は、剣心組への加入は途中からとはいえ、弥彦と3人でかなり良い場面を持って行った気がします。
特に弥彦は若手男役ホープかと思えば、娘役。
ということは、あれか。朝海ひかるのオスカルのときに、少年時代のアンドレを愛原美花が演じたパターンかと思いパンフをみてみれば、やはり、新人公演ヒロイン。
娘役ホープってところですよね、多分。
ベルばらの少年アンドレの出番は一瞬ですが、今回の弥彦の出番はいっぱい。本来の娘役っぽさは微塵も感じないとっても良い役でした。
鳳翔さんの格好良さもかなりのものでしたが、あのでかい刀をもっと振り回して欲しかった気がします。
大湖せしるさんは、ホントこれで退団しちゃうのが残念……。

さてさて、こっからは少し辛口です。ネタバレありです。
今回の小池先生の演出は、「昔懐かしい小池ワールド」でした。
初めて小池先生の脚本をみたのは、それこそ「天使の微笑、悪魔の涙」で、意識したのは「アポロンの迷宮」「Luna」でした。今回のは最近の三大小池作品(『エリザベート』『ロミジュリ』『1789』)ではなく、こちらの初期3本を思い起こさせました。「Luna」には確か、マイクロソフトらしき会社が新興宗教と繋がってて云々という設定があったと思います。その時の、新興宗教っぽい妖しい雰囲気と、「悪魔の…」でのヒロインが壊れてしまうシーン。
小池先生は、人の暗黒面を描くのが得意なのだなー、それもちょっと執拗にと思っていましたが、演出としての今回は、ちょっとそのあたりの「得意面」と映像などを使った「新しげ」な側面が微妙にアンマッチだった気がします。
正直、薫が剣心を思い、すれ違いを歌うシーンの映像は…ちょっと。
そういえば、涼風さんオスカルのときに、馬に乗って走るオスカルの映像があって笑ったよね…と思いましたし、どことなく、朝海さんベルばらでの「オスカルが沢山出てきては全部偽者」というロザリーのシーンまで彷彿しました。ベルばらは植田先生ですけどね。映像は、トラファルガーのが格好良かった。あれもセンスなのかな…

私が一番言いたいのは、ほぼ最後のシーンです。

ヒロインを麻薬入りの酒で酔わせ誘拐し、眠っている彼女に、昔愛した女をイメージした思い入れのある打ち掛けを着せる

全く同じのが「アポロンの迷宮」にありました。
ヒロインを睡眠薬で眠らせ誘拐し、眠っている彼女に、代々引き継がれてきたウエディングドレスを着せる

どちらも誘拐したのは、適役である二番手男役です。(るろ剣は望海さん、アポロンは紫苑ゆうさん)

小池先生、この設定好きなんだね…と思いつつ、舞台を見れば、階段の上に窓。
あれ、セットそっくり…

さすがに、ヒロインが逃げようとして窓をあけると「絶壁です」と言われて逃げられないことを悟るシーンはなかったものの、
アポロンの迷宮ではフェンシングで戦った箇所がそのまま「日本刀」での戦いになり、主人公が勝つと、適役は一言残し、自ら窓から下に飛び降りるというところが全く一緒でした。

出来ることならいっそ、加納(望海さん)には、シメさんの「アーポーローーーーン…(恨み目)」ばりの逝っちゃってる雰囲気で、「けーーーんしーーーーん」とやって欲しいくらいでした。
植田先生は植田歌舞伎と言われるし、草野先生のショーもどこかにた感じのものが多いし、柴田先生は、「夏祭り設定(太陽の男と月の娘とか)」が大好きで出てくるというパターンはあるけども、オリジナルキャラの設定が、まさかのシメさんキャラと全く一緒風な設定というところがなんとも言えません…。うーん。

あと、ショーですが、男役だけのダンスは格好良くて好きなんですが、全員が揃ってないように見えて残念でした。
同じ小池先生の銀河英雄伝説の男役だけのダンスは、もっと揃ってた気がします。これは、かなり残念でした。
せっかくコスプレの似合うカッコイイ男役さんが多いのだから、もっとしっかり揃えば最強だと思うんですけども。

というわけで、今回の観劇。☆5つパターンでいくと、3かな…… 良いところとそうでもないところの差が大きいので。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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