日常/心

東京宝塚公演 宙組「ベルサイユのばら オスカル編」をみてきました

昨日6月20日は、宙組「ベルサイユのばら」の東京公演初日でした。
ファンクラブ経由でチケットを取得したのですが、これが素晴らしく良い席。
2階席の1番前ですよ。

berubaraseki

わかりますでしょうか。真下が花道です。残念ながら「バスチーユの白旗」は見えませんでしたが、他はかなり良好。オペラグラスいらないくらい。

さて、最近みたベルばらといえば、朝海ひかるさんのオスカル、水さんのアンドレ、貴城けいさんのジュローデルのものでした。
そしてこれは、私が凰稀かなめさんに嵌まるきっかけになった舞台でした。
当時、彼女は衛兵隊でひときわめだっていました。
そして、新人公演ではオスカルではなく、アンドレだったそうです。

その彼女が「オスカル」として「ベルばら」に出演する。なんという巡り合わせ。
ただ、心配はありました。

植田先生が「かなめさん(涼風真世さん)」のオスカルっぷりに惚れて書きおろしたという「オスカル編」は、乗馬シーンが映像という伝説を作りましたが、それほど悪くなかったわけです。あの髪をきってアランの妹にあげるシーンとか最高でしたし。
しかしですよ、問題はその後です。
朝海ひかるさんがやったのも、まさにオスカル編だったわけですが、申し訳ないですけど、爆笑ものだったからです。

ロザリーが「ベルナールに嫁げ」と言われて、「ホントは私はオスカル様が……」というシーンで、大量のオスカル(全員がオスカルの仮面をつけている)とか、宝塚ファミリーランドから持ってきたのかと聞きたくなるペガ子とか。
また、新たな伝説を生むのではないかという不安が。
そして、もう一つ。これは、会場ついてから不安になったんですが、今回の演出の組み合わせ、植田先生+谷先生じゃないですか。
「風と共に去りぬ」もそうだったはず。「白夜伝説」の悪夢再びかって感じで、嫌な予感が………。(私は谷先生の作品と悉く萌えポイントが合いません)

感想としては、植田先生が記者会見で言っていた「凰稀かなめをみて、オスカルそのものだと思った。だからオスカルのエピソードを足して書き直した」というのは、あたりだったなと。
話全体的に、オスカルのすばらしさが出ている話になりました。
正直、朝海さんがやったオスカル編より、ずっといいと思います。惚れて書かれただけあります。

ただ、その反動というか副作用で、ロザリーは割を食いました。
オスカルが大人になった時点で、ロザリーは既にベルナールに嫁いでいました。
これは、この作品にとどまらないのですが、どうも宙組のトップ娘役は、ないがしろにされすぎではないでしょうか。
前回はメラニーでしたし。

植田先生は、割と耽美が好きですよね。日向薫さんの退団公演のショーでは、紫苑さんとのデュエットダンスをさせてましたし、ベルばらでも東京公演はオスカルは紫苑さんだったので、薔薇のタンゴはもう、耽美という他言いようがなかったです。
それは、めちゃくちゃ好みに合致するからいいんですけども(苦笑)、今回それに加えて、ロザリーが割をくった分、凰稀さんのオスカルが、孤高の存在すぎました。
もう、変な話、アンドレとアランとジュローデルとロザリーの4股にしか見えないです(笑)。そして、恐らく一番蚊帳の外がロザリーっていう……。

宝塚は良くも悪くも予定調和で、心中しても死に別れても、次のシーンでは「天国で幸せにくらしましたとさ」って感じの、二人のラブラブなデュエットが入るのですが、今回はそれもなかったです。アンドレとのラブラブなシーンは、今宵一夜だけ。
最後の天国のシーンはオスカルは一人でした。
これは、個人的には谷先生っぽいなーというのが感想。だって、植田先生は今までずっと、「二人は天国で幸せにくらしましたとさ」的なのを入れるのが王道でしたから。まあ、実際に谷先生が決めたのかは解りませんけどね。

そういう演出の色々はおいておくとして、今回のベルばらの良さはオスカルの演技です。今までの人も、勿論オスカルのかわいさとかっこよさ両方出てましたけど、凰稀さんのそれは、鬼気迫るものがあるというか…

「男らしい!」上に「女らしい!」

衛兵隊にいるときのオスカルは男役、今宵一夜では娘役というのではなく、衛兵隊にいるときは、「男より男前な女」、今宵一夜では「素直な女性」という感じで、甘やかされてそだった自分も自覚しつつ、それでいて、他人を疑わない真っ直ぐさと、自分の運命を受け入れる「男前っぷり」が同居している感じ。

間違いなく、彼女の代表作になるだろうと実感しました。本当に、何度も、その演技に感動させられました。
だから、アランが惚れるのも、「衛兵隊全員惚れてるよ」という台詞も、ものすごく納得がいく。「女だから惚れるというより、人間として惚れてるんだな」というのが解るんですよね。で、それは、今回の脚本にそう思わせるところがあったからだと思います。

あと、ショーのかなめさんはやはり、男装の麗人として…オスカルとして振る舞っていました。これも、私は「いいな」と思ったところです。今までのパターンを破ってはいますけど。

ペガ子は…今回も健在でしたけど、2階席近くまで張り出してきて、前回よりグレードアップしていました。ファミリーランドっぽさはなくなっていました。笑いそうになったけど。でも、オペラグラスで顔をみたら、ただ笑顔でいるだけでなく、表情での演技をされていて、それにも感動しました。
いい!今まで見た中で一番のオスカルは、「紫苑ゆうオスカル」でしたが、ひけをとりませんでした。
(ちなみに、紫苑さんのオスカルのすごさは「アンドレ、なぜついてきたー」と押さえつけられるシーンで、そのまま床に倒れ、それでもアンドレに手を伸ばしたというすごさでした)

次は7月11日に観に行く予定ですが、ボーナスも出たし、キャンセルでの追加分が出たら、時間のつく限り通っちゃいそうな勢いです。

すごくいい作品でした。また観るのが楽しみです。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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