宝塚

4/10 「1789」プレビュー公演2日目感想 -2 (ネタバレありかも)

昨日の続き。

お芝居の終盤に思ったのは、オランプとロナンが似たもの同士だという台詞がありましたが、それ以上に、アントワネットとロナンのほうが似ている気がしました。最初のうちの、自分の渇望だけにフォーカスしていたところからの「愛」を知り、身分違いの恋愛を経て、より大きな愛のために犠牲になっても良いと考えるところまで。
このお話の良いところは、単純に民衆と貴族で二分割して貴族が悪いとやるわけではなく、全体として「心のすれ違いが悲しみを生む」という部分が出ているところだと思いました。それに、民衆側にも「差」があることが描かれているのは良いなと思いました。
特にロナンの「飢えを知らないやつなんて」的なところとか。
そりゃそうだよね、そう思うよねと共感できました。

それでも、仕事がないんだといわれて印刷工場に就職できるロナンはマシで、ロナンの妹は生きるために娼婦にならなくてはいけないわけで。一番虐げられてるのは、女性なのだという思いを抱かせます。
そういう面ではアントワネットも、「政治のために14歳で好きでもない男と結婚させられる」という意味で悲しい存在で、仮に旦那がフェルゼンのような男だったら良かったのかも知れませんが、ひたすら錠前作りとかで構ってくれない、でも子供も産まなくてはいけない・それも知らない国で、というのはかなりキツイですよね。

ロナンの加藤和樹さんは、とても格好良かったです。加藤和樹さんといえば、私にとっては「仮面ライダードレイク」なのですが、調べたところ、ドレイクだったのは2006年でした。あまりにカッコイイので思わずネット検索したのを思い出します。
そういえば、かなめさんファンになったのは、ベルサイユのばらでかしちゃん(貴城けい)がジュローデルをやったときに、衛兵隊に凄くカッコイイ人がいるということで検索しまくってからなのですが、これも2006年でした。全然別々のところで思わずカッコイイと見とれた二人が共演するとは、時の流れは面白いです。

ロナンは、やはり渇望スタートだと思いますが、途中途中の心の動きが凄く解りやすく、身体能力の良さもあいまって、「お前らと対等でいたいけど、お前飢えしらないじゃん!」みたいな苛立ちも、オランプへの気持ちもとても伝わってきましたし、最後もね。

オランプは頭の良い女性という印象。臨機応変だし、アントワネットとの最後のシーンも良かったですね。
アントワネットに選択を迫られるシーンでの、覚悟を決めたところとかも良かったです。今回は夢咲ねねさんでしたが、キャラ的に神田沙也加のイメージとも重なるところはあるなあと思いました。
それにしても、ねねちゃんとかなめさんが並んでいると、星組時代を思い出して色々妄想します。宝塚OG公演の『Chicago』みたいに、全キャストをOGでやったらどうなるんだろうとか。

秘密警察も良い味出していましたし、ルイ16世は周りに翻弄されていましたが、「自分の意見がほぼない」ということで、自分の目でものを見ようとしないということの罪を写し出しました。自分一人で籠もっていれば誰にも迷惑をかけないわけではないんですよね。ああいう立場なのだから尚更。

女性の集団が小麦を求めるシーンも良かったです。男達は解ってないという歌にはものすごく共感しました。ロナンですら、妹からみたら、「口ばっかりで生活のために動いてない」と思えるのは納得出来るからです。

もしオランプが、ロナンをアントワネットに紹介していて、アントワネットが聞く耳を持っていたらどうなっていたかと考えます。
(それじゃ『グスタフ3世』になってしまうという話もありますが)
面倒くさがらずに考えること、話し合うこと。それでも駄目なことはいくらでもあるかもしれないけど、言わなくてもわかる・解って当たり前は不和を招くと思うんですよね。

いやぁ、本当に楽しかったです。舞台のメンバーの身体能力の高さも凄いし、全ての場面で考えさせられる作品でした。
プレビュー公演ということで、次に見に行ったときは変わっているところもあると思いますが、それもまた楽しみです。
次回は4月18日に行ってきます。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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