ノルウェー語

ノルウェー語:過去完了形と過去形のニュアンスの違い

ここ三週間ほど、過去完了と過去形について学んでいました。以前、現在完了形とか仮定法についてまとめたときには、過去完了は「過去の時点で更にそれより過去のこと」という感じでまとめたのですが、どうもそれだけではなさそうで。

元はと言うと、私が3月の終わりに行ってきた「峰さを理追悼チャリティコンサート」の感想をノルウェー語で言ってみたところから始まりました。私の元の日本語はこうです。「コンサートを見て、かつて自分が(80年代に)その舞台を見たときのことを思い出しました」。

「コンサートを見た」は、一週間前のことだったので「過去」。「80年代に見たときのこと」はそれより更に前だから、私としては「思いだした」は過去形、「その舞台を80年代にみたときのこと」は過去完了で書いたわけです。ところが、「これは両方過去形でいいよ」と言われてパニック。なんで??

先生曰く「見たときのことをはっきり覚えており、脳内でそのときに再現されている」という状況なので過去形で良いと。ただ、これが「記憶が曖昧」なら「過去完了」になると。

教科書の例文にもあった「私がショップにいったときには、もう最後のケータイ電話は売れてしまっていた」は、この文章の主体(私)はケータイ電話が売り切れたのがいつか知らない(なんなら真偽もわからない)ので、過去完了で良いと。うーん、わかるような、わからないような…。ってことで、先週はいくつか文章を考えて確認してもらいました。

Jeg kunne ikke huske at vi hadde møttes da jeg var barn.
(私たちは、私が子供の頃あったことがあるようだが私は思い出せなかった)

これは、「自分の記憶にない(曖昧)」であることから過去完了でOK. 次は上記のケータイと同じパターン。

Da vårt fly kom på flyplassen, hadde det neste flyet tatt av.
(私たちが乗った飛行機が空港についたときには、次に乗るべきだった飛行機は離陸済みだった)

これは実は2010年の実体験ですが(参照:【連載】愛に溢れたハプニング旅行10@ストライキは続く)、まあそれは兎も角として、これは正解で、かつ実は後ろを過去形で書くと意味が変わると言われました。

つまり “Da vårt fly kom på flyplassen, tok det neste flyet av.“だった場合です。これだと、「私たちが乗った飛行機が空港についたのと同時に、次の飛行機は離陸した」と、ついたのと離陸がほぼ同時ということになるそうです。なるほど…。また、たとえばこれを「20分前に離陸していた」だとすると、上記の文章を全て書き直しとのこと。まあ、確かに…。

そして、次。「彼女たちは、彼女と初舞台を踏んだときのことを語った」という文章。私は初舞台がいつかなんて知らないのでこれは「語った」は過去形、「初舞台を踏んだとき」は過去完了じゃないかと思ったんですが、これはどちらでもOKだけど、印象が変わると。つまり、過去形だと「初舞台を踏んでいる最中のこと」。過去完了だと「初舞台が終わって楽屋に戻る状態」の印象になると。(ここは”完了”になるのかよ…と思いましたとも)。(※私は初舞台のことだと思っていましたが、もしかしたらコンサートのトークで言っていたのは3人ともが役を貰った初めての舞台かもしれません)

De fortalte om da de og hun spilte sammen på scene for første gang.(彼女達は、彼女達と彼女が初めて同じ舞台にあがったときのことを話した)

そして最後。「彼女達が呼んだとき、彼女はまだ用意ができていなかった」。これ、実は二つ言い方が出来るのではないかと思っていて、「用意が出来てなくてはいけなかったけど出来ていなかった」と強調したいなら過去完了、ただ、事実を述べたいだけなら過去形なのではないかと聞いたところ、ニュアンス的には間違ってないようです。自然なのは過去形、でも文脈があってなら過去完了にもなり得ると。この過去完了にしたほうが、具体性がぼかせるとのことでした。そういえば、現在完了形もいつは気にしないが原則でした。これは、以前まとめた表の一部ですが

現在完了形では、状況説明の場合は「いつ~したか」は気にしていないし、まだ起きてないことを言う場合も、上記の表でいえば「用意ができたら」とか「本を読み終えたら」がいつになるかは未定なわけで、その他でも「昨日の夜中」とはあるものの真偽が不明というわけで、どうやら「完了形」には過去完了に限らず、「具体的なことがぼかされる」効果があるようです。なるほどね…。とりあえず、過去形の箇所とかも含め表修正しないと。

Morten Harket.jp (http://www.morten-harket.jp/)の中の人。 二児の母で、フルタイム勤務しつつ、ノルウェー語の勉強をしています。 現在、NORLAからサポートを受け、ノルウェー語の詩の翻訳を実施中。

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